ついにやってきました「書く時に気をつけていること」の、その③。
自分が文章を書くことについて、基本的に意識していることは、今回の「推敲」について取り上げれば、おおよそ網羅できているはずだと言える気がします。
もちろん、基本はあくまで基本であって、いつも高みを目指すようにして応用・発展を心がけていくべきですが、そのために足腰をしっかりと鍛え、下支えするように整えておくことも大切であるように思います。
さて、「推敲」については、内田樹さんの"廊下にワックスがけをしているような"ことを意識すると良いとらえています。
一度、雑巾がけをはじめたら、何の滞りもなく端から端までスーッと行ってしまうような、そういう滑らかさがあるのが、読みやすい文章の最たるものではないでしょうか。
内容の難しいものであってもグイグイ読み進めることができたり、内容は簡単なはずなのに全然言葉が入ってこないこともあったりして、この違いが何だろうかと考えておくことも必要かと思います。
それはきっと、大きく引っくるめれば適切な「推敲」ができているかどうか、読み手に対してそこかしこに配慮ができているのかということにあるのかもしれません。
何はともあれ、下記の"ワックスがけをしている"全容を知っていただきながら、ぜひともこの感覚をともにできれば良いなと思います。
また、どういうことを思い浮かべると「推敲」の本質に近づけるのか、これを他に置き換えてと考えてみると、ひとつには"道案内をするような"ことがそうなのかなと思います。
行き先を案内する看板や標識を立てたり、草が生い茂っているところや石が転がっているようなところを舗装したりするなど、今いる場所から読み手自身がいつの間にか最後までたどり着いているように整備することにある気がします。
また、音楽になぞらえて"ひとつの楽曲や組曲を聴くような"ことも伝わりやすいかもしれません。
あまりに調子外れな音は修正して不協和音を奏でないようにするし、楽器ごとの音量を揃えたり、コード進行を一貫したものにしたりして、聴きはじめたら最後まで聴けるようにするようなものです。
もちろん、書き手が手を引くように、横にいて随時注意を促しながら、最後まで導くような書き方もあるでしょうが、読み手自身がいかに集中して、ひとりでに最後まで読み通してしまうような、そういうものを提供できるようにするのが最善なのかもしれません。
また、多種多様な読み手を引き込んで、集中どころか夢中になるようにするための、細かな工夫や技巧があるのかもしれませんが、それらすべてを総称して「推敲」となるようにも思います。
村上春樹さんの『職業としての小説家』(新潮文庫)の「第六回 時間を味方につけるーー長編小説を書くこと」における"とんかち仕事"を知ると、もう少し「推敲」について思うことが深まることでしょう。
「推敲」は、小説とかエッセイなど、長編のものを書く時のみにあらず、たとえば、こういうブログのようなものを書く時や、Twitterのような短文を綴るときであっても必要な過程であるように思います。
私自身は、書きながら何回も読み直して、前後の整合性を保つようにしているし、最初から何回も読み直して、意味の通らないところや形容詞や副詞の"かかり"に違和感がないかを確認しています。
あと、これが意外に思うかもしれませんが、「起承転結」についてはほとんど考えないでやっています。
文章自体の持つ展開に合わせていくとか、自分のリズムに合わせていると、自然と起伏はできてくるもので、あまり意図的にやらない方が読みやすいことにつながっていくように思います。
何を書くにしても、伝えたいことが伝えたいままに伝わっているのが、もっとも効率が良いと言いますか、こちらの熱意のこぼれ落ちる量が少なくて読む相手に届いているということになるでしょう。
熱いものを熱いままで食べるのがおいしい料理があるように、そのために何ができるのか、加熱の仕方だったり、容器との相性だったりを工夫するようなことに似ています。
もしかしたら「推敲」の過程を大切にするということは、書く時に封じ込めた熱意を、たとえ多くの時間が経とうともほとんど損なわれないようにする、そのような仕上げのことを言うのかもしれません。
瞬間的にワッとわき起こる熱風も良いでしょうが、熱した石がいつまでも赤く熱いような、そういう温かみがあるのを、どちらかというと多く選んでいきたいものです。
そのために、いかに時間がないような時にでも、自分自身で二度三度と読み返すとか、行きつ戻りつ、読み返しながら書くようにしていくのが良いように思います。
特別何かが目立つようなことはないけれど、しっかりと文章を書いて、誰かに届くようにありたいと思う気持ち、これを持っているかどうか、それが最も大切なことのように思います。
以上、「書くことについて気をつけていること」を3回続けてきましたが、いかがだったでしょうか?
お互いに、あれやこれやと気をつけながら文章を書くことが上手になっていけるよう、切磋琢磨していけたらとても嬉しいです。
次回以降は、また趣向を変えながら何かしらを書いていこうと思う次第、何がどうなるかはお楽しみ!ということで、引き続きよろしくお願いいたします!
<前回までの記事はこちら>
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傍島康始(そばじまやすし)/次の"高み"へ@千葉:展示会・イベント関係従事、飲食店勤務などを経て、新しい働き方&仕事の仕方を模索中*#西野亮廣エンタメ研究所*#五星三心占い*#銀の羅針盤*ロック、メタル音楽が好き*親子丼食べたい♪
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