物事の決定のプロセス①


"あらゆる現象は、すべてメタファー(比喩)である"という言い回しが、誰かの代表的な発言としてあるのかどうか、あったのかどうか、そこまでの確たる自信はありませんが、ふと脳裏に浮かんできました。


この言い回し、もう少し正確にはヘルマン・ヘッセ(19~20世紀にかけて活躍したドイツの小説家・詩人)の「メルヒェン」にある"地上の現象はすべて一つの比喩である"のようで、いくらか自分なりの解釈を盛り込んでいたようです。


いずれにしても、何かを取り上げるということは、別の何かにたとえているということかもしれず、何かのたとえはまた別の・・・というようにつながって、事実と比喩が交互に折り重なっていくもののように思うものです。


今回はこの言い回しの真意にどれほど肉薄できるのか、それはまた、普遍的な何かに触れることができるかもしれず、そんなことをそれとなく思いながら、それでも基本的には思いつくままに進めていきます。



今回のテーマとしては"物事の決定のプロセス(過程)"を取り上げていきたく、それにあたっては楽器のベースを題材にしていくと十分すぎるほどに紐解けるのかなと思っています。


なぜベースなのかは後述するか割愛するかは(メインのところでだいぶ長くなりそうなので、今のところ)定かではありませんが、基本的には4本の弦からなるベースはバンドサウンドの低音部を担い、リズムとメロディーの架け橋となるのが大きな特徴でしょう。


もちろん5弦とか6弦とか増していくことで、扱える低音が増えてより多彩な演奏や表現ができますが、それはまた異なる工夫であり、異なる観点になっていくように思います。


こういう、思いつくことのひとつひとつを検証していくと、ベースという楽器の持つ奥深さや可能性を大いに感じることができるわけで、それをこれから展開していきたいところでもあります。


どこから取り上げていくにしても、その奥深さや可能性を下支えすることになるでしょうし、あとはいかにわかりやすく展開していくのか、それが焦点となっていくでしょう。


具体的にはベースの話が続きながら、それでも取り上げたいテーマは"物事の決定のプロセス(過程)"であって、多くの物事は構造を伴って存在しているということを、メインのテーマにからめて明らかにしていけると良いなと思います。


行きつ戻りつ、少しずつ掘り進むようにして話は進んでいきますが、書き手としてもそうですし、読み手としてもぐいぐい引き込んでいくためには、見えないところでも丁寧に手を施す必要があります。


気づかなくて構わないものではありますが、呼びかけにおいても構造を伴っているのだとほのめかしておきたく、あらかじめ念頭に置いておくと、よりスムースな理解や全体の把握に役立つかもしれません。



こういう、物事をとらえる視点についても知ることは多いものですが、ベースの本体を手に入れて音を鳴らすということを"極めて"シンプルに考えれば、かき鳴らす楽器本体があって、その音を増幅して響かせるアンプを用意すれば十分と言えるでしょう。


この潔いくらいにわかりやすいセッティングは、ベース本体にシールド(コード)を指して、もう一方をアンプにつなげる「直アンプ(ちょく・あんぷ、じか・あんぷ)」という行為で何の装飾もないもの。


もしも、それを十分な出力で鳴らすとか、どこの場所でも同じように鳴らしたいとなれば、アンプで鳴らす前にプリ・アンプを組み込んで調整するのも良いでしょう。


また、音色や響きのところで工夫をしたいとなれば、各種エフェクターやボードを挟んで多様さを演出することもできるわけです。


あるいは、より良い音を聞き手に届けるために、アンプで鳴らした音を拾うばかりでなく、その手前で電気信号として拾うDI(ダイレクトボックス)を活用して、余計なノイズを取り除く効果を期待しても良いかもしれません。


そうやってキレイに整えるのでも良いし、音は空気を伝わってくるものなので、その場の雰囲気も含めてそこで鳴っている音を拾うのも別の魅力があります。


このあたり、音楽をスピーカーで聴くのか、イヤホンやヘッドホンで聴くのか、それぞれの良さがあって、同時にそれぞれの違いがあることに似ています。


アンプとか何らやを考えていくと、ベース本体のみならず、音を鳴らして響かせるためにはいくつもの段階を経るわけで、どこでどうなっているのか、部分と全体の双方を鑑みていくことが大切であるように思います。



このベース本体からはじまって、聞き手の耳に届くまでどのような工夫をしていくのかを考えるだけでも見るべきところは多く、おそらく(ヴァーチャルな)紙幅を多く費やしてしまうものです。


しかし、ベース本体の工夫だけも尽きることのないものがあると思います。


ここまで駆け抜けたところで、ようやく言いたいことの入り口にさしかかってきたので、そこに続いていくよう、ベース本体の工夫について取り上げていきます。


きっとセオリー通りにいくのであれば、真っ先に取り上げるはピックアップによるタイプ分けではないでしょうか。


弦の振動をとらえて電気信号に変えていく箇所で、大別するとジャズ・ベース(JB)、プレシジョン・ベース(PB)があって、形状の違いやセットの仕方によって音色が変わってきます。


どのピックアップを選ぶのかと同様、ネック寄りかブリッジ寄りのどこにセットして音を拾うのか、それによって聴感の差異が生じることもあります。


もちろん、他にもハムバッカーのピックアップもありますし、それらピックアップを斜めに傾けてセットするとか、ボディから上に出る(=弦に近づく)高さをどうするかもあるでしょう。



そして、これは塗装やシェイプに目がいくあまり、結構見落としがちになるのかもしれませんが、ベースの本体やネックの大部分は木材です。


つまり、どの材質のどの部分を使うのかとか、どれくらいの年数のどの材質を組み合わせるのか、それが音色や本体の鳴りに大きく影響してくるわけです。


弾き方とかフレーズということも魅せる上でとても大切なことですが、どういうベースを選ぶのかによってそもそものパフォーマンスが変わってくるように思うので、しっかり見ていくことが大切です。


どちらかというと中身が詰まっている方がよく鳴るし、よく響きもするだろうと言われており、代表的なところではアッシュ、アルダー、マホガニーがあります。


この木材自体を追求するのは、樹木自体の育成の年数、乾燥する年数、どこの地域で採ってどこでどのように加工するのか、林業とか木工とか、そういう分野も網羅したくなるもので、今は控えめにしておきます。


ただ前述のような木材では、その分だけ重さが増すというのがあるので、もしも長時間演奏するとか、ステージ上でたくさん動き回りたいとなれば、厚みや大きさはできるだけ控えて本体自体の軽量化を図ることも考えなければいけません。


ベースを構える姿勢としても、片方の肩にかけることが多いだけに、その分カラダのゆがみや肩こりの原因ともなってしまいます。


そこに関しては、ボディの形状や厚みをどうするのかもあって、また、ピックアップに何を選ぶのかも含めて、弾きやすさ、音の鳴りや響き、余韻(サステイン)のようなことも考慮するのが良いわけです。


もっと厳密に考えるとするならば、出したい音についてまわるであろう倍音のことも考えたり、塗装、これすらも鳴りに関係あるかもしれないと思い至ったりして、使うネジやベグ、ブリッジ、その他の金属部品においても同様のことが言えるかもしれません。



本体に続いてはネックについてで、これは左右対称か非対称かのヘッドの形状、ボディと同じ色合いにするマッチングヘッドにするかどうか考えていくことになります。


そして、ボディとの接続で、ひとつの木材で仕上げるスルーネック方式か、材質が同じでも異なっても留めることのできるボルトオン方式のどちらにするのかが、実はベース本体で最も考慮することなのかもしれません。


スルーネック方式は、そのひと続きの構造で全体が鳴りやすいので、弾くたびに起こる余韻(サステイン)に有効であり、ベース全体の鳴りに効果があると考えられます。


これについては、一体化している強みがある分、ネック自体を容易に変えることはできないし、使っているうちに生じる反りや損傷に関しては大幅な修理・補修が必要になるというリスクはあるかもしれません。


一方のボルトオン方式では、木材の相性を組み合わせながら試すことができるという点において、それは秀でた構造・特徴であると言うことができるかもしれません。


ついでに言えば、それぞれの音階ごとに打ってあるフレットを外すと、指板がひと続きになるので、そのフレットのない(フレットレスの)方が音の動きが滑らかになる効果があるという発想もあります。



次第に微に入り細を穿つようになっていくわけで、数多の要素の組み合わせと積み重ね、より良いものを目指すにはより多くのことに気を配る必要があるということなのでしょう。


「良い音」と言ってもいろいろな解釈があって良いわけですし、また、ベースと一口に言っても、いくつもの部分を組み合わせる精巧なパズルのようで、どれくらい気を配っても終わりがないくらい、それくらい手の施しようがあるということを表しているわけです。


それだけとことん突き詰めていくとその分奥まっていくものですし、どこまで進んでも壁に突き当たるどころか、その壁自体が次の段階につながる扉であるようなこともあるかもしれません。


可能性の扉をいくつも開けていくことで、自分自身が思ってもいなかったようなところに出ることもあるでしょうし、新たに知ることも多いはずです。


終わりのないのが終わり、それはまた魅力に溢れる状況であるように思います。



ここでもう少しプレイに寄り添って考えてみると、ピック弾きなのか指弾きなのか、ピック弾きならば何を使うのか、素材もそうですし厚みや形状によっても音色が変わってくるものです。


それに伴うように、同じチューニングにしても、より太い音を望むようであれば弦は太めのセットを用いるとか、ダウン・チューニングにするのでも、太いセットの方がたるみにくいはずだとか考える必要があります。


プレイのしやすさでは、薄めのピックで細めの弦を用いる方が、余分な力を用いないだろうから、無理のないタッチになるかもしれません。


それに加えて、ネックからボディに続くあたりからブリッジ寄りまでの間の、どの位置で弦を弾くのか、それによっても音色は大きく変わるものです。


弦の振動はその長さと加える力によって変わるので、指弾きしかり、ピック弾きの場合でも押し当てる位置と角度、これだけでも音色は千変万化するといっても過言でないくらい、多くの追求する余地があるでしょう。


弾くフレーズやテンポの早さ次第では、できればフレットと弦の間隔が狭い、弦高は低い方が良いとなりますし、ピックで力強く弾くとか、同じ方向で弾くダウン・ピッキングのためには間隔を空ける、つまりは高い方が良いとなるでしょう。


この弦高もそうですし、ネックの握り具合や弦同士の間隔もまた、プレイのしやすさと出る音色に関わってきますし、前述のピックアップとの間隔も考慮しながら、弾きやすさと音色の良さのバランスを図るのが良いでしょう。


あえて弾きにくい組み合わせで強引にプレイするというのも、そのアンバランスさやいびつさを表現することになって、意外性をもって受け入れられることもあるかもしれません。


また、弦の太さや高さに関連して言えば、どれくらい張っているのかというのもプレイのしやすさや聴感の差異に現れてくるので、どのテンション(張り具合)を好むのか、これも重要なところです。


これが弦をどれくらい巻きつけるのか、またヘッドの巻き取る位置にも関わってくるので、より太い4弦や3弦側を張りたいとなれば右利き用ではなく左利き用のヘッドを用いて、"リバースヘッド"にするのも良いでしょう。


これはフレーズや運指にも関わるところで、あまり高音域を使わないとか、ネック寄りのハイポジションを使わないということにもなっていくので、ベース本体の特徴がプレイにも現れてくるということでもあります。


十分なテンション(張り具合)を得るための他の発想としても、フレット自体の長さを変えて、通常32インチくらいのところを33~34インチにするロングスケール仕様にしても良いわけで、それによって響いたり鳴ったりする音だけでなく、見た目の変化ということにもつながってくるのが興味深く思うところです。


あとは、ブリッジに何を用いるとか、弦のもう一方をとらえるのに本体の表通しか裏通しかで、弦のテンション(張り具合)や見た目に変化がありますし、ベース本体をどの位置で構えるのかでストラップの長さや素材、ボディ本体のカラダへのフィット感なども考慮していくことになります。



指弾きは親指を固定して、人差し指からはじまって2本から4本を駆使する奏法で、指で直接弦を弾くため、丸みを帯びた音であるとか、太めの音とかを出すのに適していると言われています。


もちろん、親指も用いてのスラップ奏法というのもありますから、これだけでも十分に多くを語れようというものです。


ピック弾きにしても同様で、弦に対して上から弾くのか(手前から腕を下げて向こうへ行く)、下から弾くのか(腕を上に戻すように持ち上げる)のか、またその組み合わせで奏法が変わってきます。


上から弾くのと下から弾くのを交互に行うオルタネイト奏法では、行って戻ってと動きをスムースにできる分、早いフレーズであるとか、弦の間の移動するとかに有利であるように思います。


この、行って戻ってを繰り返す時に、ピックを弦に当てる角度を同じようにすれば、音の粒をバラつかせることなくそろえる効果も見込めるものです。


ベースを構えるのにも、弦にピックを押し当てるのでもできるだけ水平にするのが好ましく、または角度が変わろうとも同じような力加減にするのが、強く意識の傾けるところかもしれません。


または、ひたすら上から下にしか弾かない、ダウン・ピッキングで勢いを増すエコノミー奏法も良いでしょう。


これは、シンプルに方向が同じでやりやすい一方、弦を弾くのは上からのみ、そこから元の位置に戻す早さを意識する必要があるように思います。



こうした、見た目、音の良さ、扱いやすさなどを含めながらこれだけ手を施していますし、そのベースは一回使い切りであるはずもなく、維持するのにやりやすいとか、安定して同じように鳴らせるように工夫していく必要があります。


鳴りの良さとプレイスタイルとの兼ね合い、前述の材質をどうするか、いくつもの要素とも関わりながら考慮していくことになります。


とことん追求するのであれば電圧による影響も考える必要があって、日本の西側と東側でも異なりますし、海外の電圧や気候によっても異なることは知っておくのが良いでしょう。


さらには、もしもエフェクターやチューナーとかで電池を使用するようであれば、その電圧も知っておくと良いものです。


繰り返しになりますが、ベース本体は木材でできているので、できるだけ乾燥している方が鳴りますし、ネックの反りやボディの調子も整いやすいので、亜熱帯に位置する日本では湿気には十分な注意を払っておきたいものです。



ここまで述べてきて、どのようなベースを用いるのか、どのようなセッティングにするのか、それによって鳴らす音は変わってくるものです。


しかし、最も大切なのは自らベースを構えて弾くことですし、その前提としては自分の心持ちというのがあるということです。


「思いっきりロックするぜ!」となれば、力強く弦を弾くことになりますし、ステージを所狭しと動き回ることになるでしょう。


上手く弾けるかどうか、それ以上に伝わる何かがあるのか、決してパソコンの画面上で描かれる波形とかスピーカーの音量の数値ではない、そういうものでは表したり計ったりできないくらいの"熱さ"を醸し出していきたいものです。


また、プレイする人自身にしても、人の身体の70%あまりが水分であって、水面に石を投げれば波紋ができるように、誰がプレイしているのかだけでなく、どれだけ自分自身が鳴っているのか、どれだけ鳴っている音と一体となれるのか、これもまた大きく関わるところのように思います。


どれだけ良い音を鳴らしよく伝えられるのか、つまり、どれくらいの良導体となれているのか、折に触れてそういう観点で自分を省みるのが良いのかもしれません。



読んで字のごとく大きく感動している状態は、心を震わせるとか、打ち震えている状態でもあるので、普段からいかに心を動かしている状態にあるのかを見て取っていきたいものです。


まるで機械のごとく正確無比な演奏ばかりでは、聞き手の心を打つようなことはなく、感動で震えているくらいの状態がグルーヴを生み出していくことも考えられるものです。


何とも言えない揺れや"ゆらぎ"、こういうものは生身の人間であるからできることのように思います。


そういうことを踏まえながら、レギュラー・チューニングEの4弦、その開放弦(つまり、E音)を一発鳴らすだけで聞き手を唸らしてしまう、あらゆる理屈や理論をすっ飛ばしたところに、ベースにおけるプレイの究極があるようです。


いわば、天高くある理想の一音のために、空中にどうにか階段やら梯子を設けてつかめる位置にまで手を伸ばそうとする、それが日々の取り組みということになるのでしょう。


自分の鳴らしたい音が自分の頭や胸の内にあって、それが原点であると同時に最終的な目標であるように、足元から延びる道のりは理想へのひとつ続きとなるのかもしれません。



ここから先は後半に続く、これで折り返しになりますので、今のうちお手洗いや腹ごしらえを済ませておくと良いかと思います。


あるいは、遠くを見やって目の緊張をほぐすのもナイスですが、そんなことを考えているうちに、続きは明日にお届けするのが良いなと思うようになりした。


それではまた、しばらくの風呂やら睡眠などの休息ののち、後半でお目にかかりましょう。


に続く>




傍島康始(そばじまやすし)/次の"高み"へ@千葉:展示会・イベント関係従事、飲食店勤務などを経て、新しい働き方&仕事の仕方を模索中*#西野亮廣エンタメ研究所#五星三心占い#銀の羅針盤*ロック、メタル音楽が好き*親子丼食べたい♪

Twitter:https://twitter.com/sobajimaximum

Instagram:https://www.instagram.com/sobajimaximum

0コメント

  • 1000 / 1000