というわけで後半まだまだ続きますので、深呼吸を適度にしながら楽しんでいただけたら幸いです→
*
こうして、概ねベース本体の仕様やセッティングについて展開してきたところで、一旦、別の切り口から考えてみたいと思います。
たとえば、どのような音を出したくて、どのようなベースを用いるのか、いくつもの考え方やアプローチの仕方がある中で自分なりに選び取っていくことが大切です。
言い換えてみれば、「1+1=2」のように、今あるものを足して「2」に行き着くのか、あるいは、さらに数を増すようにして「3」とか「4」を狙っていくのでも良いでしょう。
これが、もしも「2」という答えを得ることを強く思っているのならば、その途中は「1+1+3-2-1=2」とか「1+3×2+1+2-3×2-2=2」みたいな順序を経ても良いわけです。
この場合では、ノイズをあえて出してノイズを消すとか、まるで絵画のまっさらなキャンバスに一度黒を塗りたくって、その上に白で塗り直すようなことがあっても良いかもしれません。
一方、数を増すようにしていくアプローチであれば、本体に多くの趣向を凝らすばかりでなく、スピーカーを多く積んだり、エフェクターをいくつもつないだりして、求めるものに近づいていくことになるでしょう。
そうやって比較していくと、先に目的や結果を見るのか、または手段や過程を見るのかによって、必要に応じて足したり引いたりするわけで、よりどちらに重きを置くのかの差異になっていくように思います。
*
これは、一体どれが正しいのか、たったひとつの(絶対的な)正解を選んでいくというよりかは、いくつもの正解がある中で最も求めるものに近いものを選ぶ、あるいは考えを重ねて正解と思えるようなものを選ぶことと言えるでしょう。
自分の気持ちや考えの状態もありますし、それは時期や時代によっても異なるもので、自分がどういうモードにあるのかを知りながら、その時々の正解、つまりは最適解を探っていく試みになります。
そこで、これが今の流行であるとか、誰々がこう言っているということに逐一目や耳を向けるのは、その素直さであり、まさに参考にする上では大切なことですが、単純に追従するようでは、自分なりの模索はそこで終わってしまうように思います。
あくまでもどこかにある、最高に「良い音」のために試行錯誤を繰り返す、そして、自分なりの(その時々の)正解を積極的に追い求めていくことが大切なところです。
もしかすると、順当に考えや予想を重ねるばかりでなく、数字で考えるようなところに他の言葉や記号を差し込む、そういう異質なものを入れて現れる効果を期待しても良いかもしれません。
どのような考えの切り口で、どのように考えを展開していくのか、自分の考えがどういう枠組みのものなのかを知っていくと良いと思います。
*
ともあれ、自分はこういう音を出したくて、そのためにこういうプレイでこういうベースを使うのだと、小さなところでの変更・改善は尽きることはないでしょうが次第に定まっていくものです。
それは一途に貫いていくのが良いのかもしれませんが、ともすれば相反するようなところで、ドラムと連携してバンドサウンドの土台をどう支えるのか、または、バンド全体でどのようなアンサンブルにするのか、それにしたがって自分のプレイやベースを合わせていく必要があります。
突き詰めれば、ドラムのキック、バスドラムがどの口径や深さのものなのかも影響しますし、ギターも、多く弦を張ってベースの担う低音部分に差しかかったり、各種エフェクターで多くの効果を出してアンサンブルに影響を及ぼしてきたりするかもしれません。
自分の求める音、それはプレイスタイルにも通じるものでもありますが、揺らぐことのない一途なところと上手く調和・融合する柔軟さとがあって、それらをともに持ち合わせて対応していくのが好ましいように思います。
主張をともにたたかわせながら押したり引いたりする、単にそれだけでなく、それにともなって新たな境地に行き着くこともあるでしょう。
これがバンドのマジック、その妙とも言えるところで、意外なもの同士を組み合わせたら、興味深いサウンドになることもあるかもしれません。
今で言うと、カレーライスにタピオカを入れたら味と食感に変化が現れるようなものかなとも思います。
*
ともあれ、バンドのアンサンブルを詳しく見るように、物事のバランスにおいては、あちらを立てると、こちらが立たずということがあります。
ならば、そちらを優先すると、他のことがまた問題となることもあるわけです。
うねうねと迷い出したらどこまでも迷ってしまうような、向きも位置もわからなくなるほどに広がる砂漠や大海、そこに投げ出されたような気持ちになるかもしれません。
東西南北どこに向かうにしても、今、自分がどこにいるかも知らないと、一様に北に向かうと良いよと言われても、どの方向にどれくらい向かえば良いかわからないものです。
なかなか困難な中にあっても大切なのは、自らピンを刺して、地図の上に座標を記すような気概や行為であって、それは決意や覚悟とも言い換えられるもののような気がします。
いろいろ取っ払ったところで自分の軸をどこか一点に決める、だからこそ、プレイもベースも後に続いて決まっていくものなのかなとも思います。
または、この素晴らしき世界に対して経度や緯度を定めるように、この時代、この場所、自分はここにいるのだと知ることが大切です。
自分の居場所や立ち位置があるから、相手との距離感や向き合い方がわかってくるし、そこからはいかようにも変えることもできるだろうというわけです。
*
物事の決定、こういう例は身の回りにたくさんあって、たとえば住む場所にしても、日当たりを重視して南向きを選ぶと、エレベーターはなく階段を使うしかないとか、静かで良いけれど駅から遠いとか、会社に近いけれど買い物に不便とか、多かれ少なかれ何かしらはあるものです。
仕事においても、給料は良いけれど休みがないとか、好きなことをやれているけれど長期の海外出張があるとか、全方向に対して完璧に満足いくことはなかなかないものです。
それに比べ、自分の意思でできるとは言えども、着る服にしても、どの組み合わせにしても、どこからはじめていくことを知らないと、上着を替え、ズボンやスカートを替えとキリがなくなってしまいます。
ひとつの例として、黒いTシャツとジーパンを基本にするから、他も黒やモノトーンで合わせようとか、対比するようにカラフルに彩るのかを選ぶことができるわけです。
色で選ぶ、ブランドで選ぶ、値段で選ぶ、切り口はいろいろあれどもどこからでも構わなく、それは誰に指示されるまでもなく自分で決めていくし、同時に選んでいくものであって、きっとそれが最たる醍醐味のように思います。
お金や時間、その他の理由を鑑みながら、選択と決定の繰り返しで進んでいく、それが日々の過ごし方であり、大きくは生きるということにつながっていくものではないでしょうか。
資源や機会など、どれもが十全にあるとか、無限にあるわけではないようなところで、いかに充実を図っていくのか、自分自身のそれにはしっかり期待を上回って応えていきたいものです。
*
このように、住む場所、就く仕事、着る服など、考え方の発想として、不足を不満ととらえるのではなく、満ち足りているところをとらえながら、それでもっと良くしていくためにどうするのが良いか、そういうところに知恵をうんと働かせるというのが良いでしょう。
今ないものを"ない"ととらえると言うより、今はまだない、この先はあるかもしれないというようなアプローチで、いつか手に入るかもしれないと思っている方がウキウキと心踊るのではないでしょうか。
理想についても手が届かないことを憂いてしまうのではなく、たとえ今が至らないのだとしても、どこまでも追い続けられる理想があることに喜びを感じていられるような、そういう心持ちでいつもいたいものです。
これまではこれで十分、さらに突き詰めるには何をどうするのか、そういうアプローチで臨んでいくのが自然であり、至極健全であるように思うわけです。
*
自分自身の葛藤や工夫のみならず、誰かとの関わりにおいて日々が成り立っています。
これも前述の通り、相手の意見や周囲の意見を取り入れるのも良いけれど、自分はかくあるべしというものを持っておく必要があって、自分はこうであるとか、そうしたいとか、それがあるから、どんな立ち居振る舞いをするのか決まってくるわけです。
それをシンプルに考えてみれば、なるほど"物事の決定のプロセス(過程)"とは、論理的に理屈を積み重ねるばかりでなく、自分が何を望んでいるのかを知ることなのかもしれないと思うようになります。
自分の心の内側を計りながら、それをかなえていく、そういう試行錯誤の果てにに何にたどり着くのかは、日頃の倦まず弛まずやることでしか届かないものかもしれません。
もしもそれがそういう紙を一枚ずつ重ねるようなことであるならば、それこそ継続して取り組んでいきたいものです。
*
決めるのは自分であって、自信があるかどうかもそうですし、何を思い、何を望むのかも自分次第、そんなことまでふわり敷衍して見てみれば、また見えるものも変わってくるかもしれません。
ここで今一度ベースや音楽の切り口を持ち出して考えてみたいわけですが、今の自分、なりたい自分を含め、あなたの「人となり」があります。
それは文字に表せば「人と成り」でしょうが、今回のテーマにからめてみれば、これは「人と鳴り」とも表せるのかもしれません。
楽器やバンドサウンドからはじまっていくうちに、どう"鳴りたい"のは、自分自身がどういう人に"なりたい"のかに通じると言っても決して過言ではないはずです。
楽器の話をしながら、あるいは、バンドサウンドの話をしながら行き着くのは、どのような生き方、それは普段の日々の過ごし方をどうしていくのかと、そういう観点に続いていくもののように思います。
そうやって考えたり、行ったりする、その過程、決定のプロセスがあなた自身の「スタイル(様式)」というものになるのでしょう。
*
ならばえいやと、たとえば良いベースを手に入れれば、良いプレイヤーとなれるのか。
これは、値段の高さとも似ているかもしれませんが、果たしてそれを操り扱うだけの技術や度量が自分の側にないと、惜しむらくは宝の持ち腐れ、その力を存分に引き出すことはできないでしょう。
確かに、技術の粋を凝集したものだけに良い音は出るでしょうが、心震わすほどのリアルな良い音を出したいと思って出そうとする、そのあれこれ工夫する前のめりの姿勢・心構えがより尊いのかもしれません。
その一環として、丹念に手入れしたり、何年も弾き込んだりすることで次第に自分好みの良い音が出てくる、このことはあっさり見過ごしていけないことです。
これは、楽しい日々や良い人生、幸せになるようなことでも同じことが言えるかもしれず、言い換えどころかそのまま置き換えることができるでしょう。
今を楽しむ、今日を良いものにしようとして生活をする、その営み自体が幸せだと"いつも"思っていれば、それがすでに幸せなのだろうし、やがて振り返ってみた時にも十分に願うものになっているのではないでしょうか。
これは、決して妥協するものでもなく、いろいろ折り合いをつけながら、かつ、自分の理想を盛り込みながら、総じて良いよねとなるのが高く望むことではないかと思います。
*
今回、なぜベースの例を用いて、ここまで延々と展開してきたのか、それは次のような理由・背景があります。
今年のはじめから春先にかけて、LUNA SEAやソロ活動で活躍するベーシストのJさんが、およそ28年連れ添ったESP(Electric Sound Products)を離れ、新たにフェンダー(Fender)と手を組んだのがひとつ話題となりました。
Jさんの代名詞とも言えるTVBベースが、音色においてもデザイン、シェイプなど全体においてひとつの完成を迎えたということで、ここからさらに模索をしていくというのが、ひとつ大きな衝撃でもあったわけです。
長きにわたって活躍し、音楽の真髄にまで行き着いているようにも思いますが、ここでまた"もっともっと"とより良いものを追求する姿勢に大いに感銘を受けました。
*
今回のJさんにおいては、ベース本体を一新することで、ベース・サウンドのデザインに大きな変化・革新をもたらしたわけですが、"物事の決定プロセス(過程)"はこれに似たところがあって、ひとつの考え方として意識して身につけておきたいと思っています。
Jさんの"もっと、もっと"という、気持ちの熱さにおいても、さらなる高みを目指す姿勢・心構えにおいても、とどまるところを知らないその様子に、憧れながらもどこかで追い越せるように取り組んでいきたいものです。
今夏の新しいアルバム『Limitless』も、文字通り"限りなし"ということで、また新しい局面に突入。
LUNA SEAにおいても、結成30周年を迎え、機動戦士ガンダムとコラボレーションしての『宇宙の詩 ~Higher and Higher~/悲壮美』があるなど、また新たな段階に差しかかっているわけです。
LUNA SEAにおいても、ここにきて完璧にして完璧にあるのみならず、それも遥かに超越するようにますます円熟味や魅力を増すばかりなのです。
また、前作『LUV』に続く新しいアルバムを、U2を手がけたこともあるスティーヴ・リリーホワイトをプロデューサーに迎え鋭意作成中ということで、ここから年末にかけて大きなお楽しみが控えているわけです。
*
年月を経ることは、朽ちることではない。
もっとステキな大人になるということは、きっといくつになってもできるような気がします。
色気も魅力もこれから。
*
今回は、比喩を重ねてそれらを行き来することで、何を表そうとしていたのか、自分自身でも結論めいて言うことはありませんが、縦横無尽に行き交うことで見えてくる模様はあるかもしれず、それで十分だなと思います。
目がくらむほどの多くの雑多な示唆、それだけでも考える材料はたくさんあるのだから、それに従えば大いに可能性を見いだすこともできようかというものです。
あるいは、今の思うことや思いつくことのあらかたを出し切ることで、その次が見えてくるというもの。
こればかりは、出し切らないと見えてこないだけに、次をどうこうするということではないのが、因果のなせる業だなと思います。
そして、ここで忘れてはならぬのは、途切れることのないように、決して途切れないように行くことが大切であるように思います。
燃え尽きるのではなく焼き尽くす、そういう情熱や情念をいつも絶やさないでいたいものです。
WAKE UP! MOTHER FUCKER、今回はここまで、またお目にかかりましょう☆
*
傍島康始(そばじまやすし)/次の"高み"へ@千葉:展示会・イベント関係従事、飲食店勤務などを経て、新しい働き方&仕事の仕方を模索中*#西野亮廣エンタメ研究所*#五星三心占い*#銀の羅針盤*ロック、メタル音楽が好き*親子丼食べたい♪
Twitter:https://twitter.com/sobajimaximum
Instagram:https://www.instagram.com/sobajimaximum
0コメント