数多くある発明や発見のうち、私たちの生活がガラリと変わるということが往々にしてあるわけですが、多くの場合、それらは「イノベーター(innovator:革新者)」と呼ばれる人たちの活躍によってなされることが多いです。
そのような「イノベーション(innovation:技術革新)」が起こった時に、いかに社会に受け入れられていくのか、これを理論的に説明したものがあって、突発的に何かが起こるということはあまり類を見ないように思います。
今回の話では、1963年、アメリカの社会学者、エヴァリエット・ロジャースが書籍『Diffusion of Innovation(イノベーション普及学)』で提唱したものが、大きな反響をもって受け入れられたのが、ひとつの契機となっているようです。
ここから発生した「イノベーション普及理論」、いわゆる「イノベーター理論」では、商品やサービスが市場である社会にどう受け入れられるかを見るもので、個別に見ると下記5種類の人のタイプがいると考えられています。
①イノベーター(革新的な者):全体の約2.5%
②アーリーアダプター(ごく初期に適応する者):全体の約13.5%
③アーリーマジョリティー(早めの段階で反応する者):全体の約34.0%
④レイトマジョリティー(遅い段階で反応する者):全体の約34.0%
⑤ラガート(遅れている人):全体の約16.0%
マーケティングに基づく商品開発や、創業間もないベンチャー企業のサービスにおいては、市場に受け入れられるかどうかは、グラフ分布における初期の15〜20%を越えるまでがひと苦労で、ここの境界線(=キャズム:隔絶、深い溝)を越えるかどうかが、ひとつのビジネス的な山場となっています。
わかりやすく言えば、万人に受けるものになるか、一部の情報通に知られるものだけになるのかの瀬戸際で、やはり、多くの人に知ってもらう方が何かと有利に運ぶことは多いため、そこは是が非でもクリアしておきたいと考えるものです。
そのため、最初の①イノベーター、②アーリーアダプター、③アーリーマジョリテイーの動向や反応を敏感に読み取りたいため、どうしても、④レイトマジョリティー、⑤ラガートの存在を後回しにしたり、時に軽視したりしてしまう傾向もあるかもしれません。
しかし、この④や⑤の傾向を持つ人たちの、彼ら・彼女らが決して流行に疎いとか、世の中の流れに鈍感であるということではなく、あくまでそのいくつかにおいてはそうであるとか、自分になじむのがそこの分布であるというだけのこともあることでしょう。
そもそも、流行がどうとかに左右されないで、ただ我が道を行くというだけのこともあるので、そういう個人の好みやスタイルなどの尊重をこそすれ、決して侮ってはいけないことのように思います。
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こういうことは、理論や理屈にあてはめて考える、どちらかというと仕掛ける側の考え方や見方ですが、普段の生活において、もう少し実感のこもった視線で見ることもできます。
近年のわかりやすい例では、ケータイ電話(スマホ)におけるiPhoneの普及や、タピオカ・ドリンクの人気の様子を見るのが"なるほど"と思うことは、きっと多いことでしょう。
具体的な場面で思い返していただきたいのですが、家族や、周囲の友人・知人のうち、ひとりくらいが話題にしていたり、手に持っていたりするくらいでは、「へー、そうなんだ。そういうのがあるのね」くらいの反応が大方だったと思います。
やがて時間が経つにつれて、10人いたら3〜4人がそうであるようになっていけば、「もしかすると、これはブームかもしれない」と思うわけで、ここから勢いがどんどん増して、自分もそうするし、大勢もそれにならって、ひとつのブームとなっていくわけです。
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このようにして、「イノベーター理論」から読み解ける仕組みを知ると同時に、自分自身の性格や気質を知っておくのも良いのではないかと思うわけです。
たとえば、私個人の場合では、何かのブームがあった時に、真っ先に飛びつくというよりかは、少し様子を見て、それでチェックすることが多いので、どちらかというと「アーリーマジョリティー」に当てはまることが多いです。
懐かしいところでは、G-SHOCKがそうで、ひと通りブームの特徴や傾向がつかめたところで、1個、2個と手に取っていました。
ケータイ電話(スマホ)にしても、今はiPhoneを使っていますが、自分の視野に入ってきたのは、「5」か「6」くらいのことで、決して早い段階から、アップル・ユーザーだったわけではありません。
タピオカは・・・、今は第3次ブームの後半かと思いますが、これについては特に飛びかかることはしていませんが、何か話題になっている食べ物は、ものは試しと一度くらいは食べていることが多いような気がします。
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こういうことを踏まえて考えると、何もかも早くに飛びつけば良いというものでもありませんが、世の中の流れをいち早くとらえたり、いくらか早めに知っていたりしたいと思うものであれば、たとえ「イノベーター」にはなれなくても「アーリーアダプター」のグループに入っているのが良いように思います。
それを意識するだけで、最初の15〜20%に入るわけで、マラソンでいうところの第2集団にいて、先頭集団に追いつけるかどうかくらいの立ち位置となることでしょう。
今年はまた、YouTubeでの投稿や発信をはじめる人が多かったわけですが、これも大勢が参入してくると、かえって飽和が促進されるだけで、ここで頭ひとつ抜きん出て、注目されるというのはかなり至難の業と言えるでしょう。
早い人は何年も前からやっていますし、2〜3年前からとか、遅くとも昨年の2019年の前半に取りかかっていれば、どうにか軌道に乗ることが多かったのかもしれません。
そうやって少し見渡してみると、今は、同じ動画でも十数秒のものが多いTikTokが注目されていたり、似たところでは17LIVE(イチナナ)も耳にする機会が多くなったりしているので、このあたりが次のブームとなるのかどうか、動向が気になるといったところではないでしょうか。
もっと早い人は、また別のものに目を向けていることでしょうし、当たるかどうか(ヒットするか、ブームになるか)はわからないけれども、何もやらないでいるよりはマシという考え方や見方もできます。
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こうやって「イノベーター理論」を意識してみながら、自分の生活にどれくらい密接に関わっているのかは、個人それぞれであるように思います。
大いに関係があるぞと思う人から、あまり関係ないやと思う人まで、いろいろあるかと思いますが、少なくとも、自分自身が社会や世の中の一部と思うのであれば、何も気にしないよりかは、何かしらは気にしていくのが良いのではないでしょうか。
それが、自分自身の生活や、身の回りとの人たちとの交流において役立つこともあるだろうから、知っていることの"引き出し"が増えるのは楽しいことのように思います。
<2020年11月13日:追加>
<2021年1月20日:追加>
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傍島康始(そばじまやすし)/次の"高み"へ@千葉:展示会・イベント関係従事、飲食店勤務などを経て、新しい働き方&仕事の仕方を模索中*#西野亮廣エンタメ研究所*#五星三心占い*#銀の羅針盤*ロック、メタル音楽が好き*親子丼食べたい♪
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