「身体の言い分」に耳を澄ます


それぞれの本が出た順番や、自分が読んだ順番が前後したり、気づきを得たタイミングが異なったりしていますが、重複して言及している箇所があったので、それを強調しておくためにここで紹介しておきます。



"チャンスはつかむものではない。やってくるものである"、"腰痛も肩こりも悩める人生も、内なる身体の声を聞けばすべてうまくいく"とキャッチコピーで謳っている、内田樹さんと池上六朗さんとの対談を収録した『身体の言い分』は、定期的に読み返していきたい一冊です(以下引用)。

内田:いっぱいすることありますよね、うちにいると。村上春樹の小説もそうでしょう。主人公は基本的に、ドラマが嫌いな人なんですよ。何も起こらないことを切に願って、毎日同じことをきちきちとこなしている。仕事を片づけて、家の掃除をしたり服のアイロンがけをしたりしている。

でも、そういう人に限って、まさにそういう人に限って、その身の上に驚天動地の大事件が起きるんです。ぼく、ほんとにそうだと思うんですよね。奇々怪々な事件というのは、そういうのが起こらないように、きちきちと生活している人にしか起こらない。波乱万丈の冒険を求めている人の身には、なぜか何も起こらない。

(p.103『身体の言い分』内田樹・池上六朗/毎日新聞出版(毎日文庫))


以前、「どれを採っても、どれも合っている」という投稿でも取り上げ、引用の引用=孫引きになってしまいますが、上記の引用と内容が重なっているため、ここでまた紹介します(以下引用)。

川上未映子さんの、読者も主人公同様、不思議な出来事の世界に入っていく、主人公が水先案内人として巻き込まれているからという指摘に対して、


村上春樹さんの、自身の小説は「巻き込まれ型」である、よくそう言われるという反応を経て、次のように続いていく箇所があります。


村上 主人公はとてもニュートラルな存在であるのに、いやニュートラルな存在だからこそ、どんどん物語の引力に引っ張られて、いろんなところでいろんな得意な、不思議な体験をします。

(p.145;『みみずくは黄昏に飛びたつ 川上未映子 訊く/村上春樹 語る』川上未映子、村上春樹/新潮社)


なるほど、「主人公(語り手)が基本的に真っ当な人である」こと、「そこが大事なことだと僕は思う」(カギカッコ内、ともにp.145;同上)ということであるために、我々読者も不思議な出来事の世界に入ることができるというわけです。

<参考>



ここで取り上げた内容とともに、『身体の言い分』全体で語られている内容、さらには池上六朗さんの『自然法則がカラダを変える!三軸修正法』(BABジャパン)の内容を加味していくと、自分自身の当たり前と思っていたこと、こうだと思い込んでいたことが、どうやらすべてがそのままその通りではないことに気がついていきます。


その感覚を簡単に表してみると、頭で考えていることが必ずしも合っているわけでなく、心で感じていることもしかり、もっと自然存在そのものとか、自分の存在を越えたはるかに大きなものに委ねていく方が、無理なくスムースに物事をとらえることができ、しかも、そのように物事が進んでいきますよというメッセージが含まれているように思います。


それは、論理とか感情ではなく、もっと本能的に物事を受け取るとも言えるかもしれず、自然の摂理を受け入れながら、自分自身の底力を信じていくのが良いのかもしれません。


こういうことを、生きること全体を通してより実践的にするには、何かに反したり逆らったりすることのないようにして、心身ともに体調を整えていくことが大切ですし、同時に、それとなく思っていれば、自ずとそういうことになっていく気がします。


やるべきことは、いずれやることには変わらないけれど、気持ちを落ち着けながら、静かに時を過ごし、しかるべき時を待つというのが、本質的なことに照らし合わせるほどに"良い態度"であるのかもしれません。


何だか雲をつかむような話かもしれないけれど、物事の真髄は案外雲のようなものかもしれないので、どうやらそっくりそのまま、そういうことにしておくのが良い気がします。


<参考>



傍島康始(そばじまやすし)/次の"高み"へ@千葉:展示会・イベント関係従事、飲食店勤務などを経て、新しい働き方&仕事の仕方を模索中*#西野亮廣エンタメ研究所#五星三心占い#銀の羅針盤*ロック、メタル音楽が好き*"1/fゆらぎ"の声を出したい♪

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